人間を責めずに、事がらを攻める
ある工場の機械課に、Aさんという技能者がいます。
彼が1978年にメキシコの鋳物工場へ、現場技術の援助のために同社から派遣されたときの話です。
労働意識の違いについては出かけるまえに聞かされてはいましたが、行ってみて彼は、日本とのあまりの違いに驚きました。
時間には揃わず、そのくせ時間がくれば、途中だろうが、どんな状態だろうが、作業を放り出してしまいます。
決まっている範囲外のことは何ひとつやりません。
作業ぶりを見れば、ずさんだし、危険きわまりないのです。
注湯する柄杓に、どろどろに溶けた鉄を入れて持ち歩いています。
誤って足にでもかけようものなら、足は一瞬にして消えてなくなってしまうではないか・・・。
おまけに、日本人と一緒にやるのをいやがりました。
その現地作業者たちの手によって、この状態が一歩一歩改善され、一年後には、安全かつ効率的な現場に作り替えられていったのです。