東京湾のガン 3
下水道が既成市街地にほぼ行き渡ったのは、ここ10年くらいです。
工場に廃液処理のための性能の良い施設が設けられだしたのは、ここ30年来のことです。
それまでは製紙会社の出すパルプ廃液や、いろいろの製造会社の出す有毒物質は、一般の住宅が吐き出している台所の水などと一緒になって、長い間東京湾に流れ込んでいました。
東京都市圏の人口が少なく、工場も多くなかった第二次大戦前には、これらの排出物質は、絶対量が少なかったから東京湾の海水による自浄作用で一見きれいに浄化されていたようにみえました。
しかし、本当は自浄作用でも完全にはきれいにされず、これらの汚濁物質は少しずつ集まり、それらが明治以降の100年の間に膨大な量になって、海流の動きにあやつられて東京湾の真中に堆積しているといわれています。
東京湾の海水をきれいにするためには、このブヨブヨとしたヘドロつまり汚濁物質をかいだすことがまず考えられます。
しかしかいだされたこれらの堆積物は、水をたっぷり含んでいりますから、焼却処理をして水を取り除き固形化しなければなりません。
さらに残った固形物をどこへ持って行ったらいいかということになります。
固形物が仮に灰になったとしても膨大な量でしょう。
つまりかいだして焼却処理をすれば、絶望的に費用がかかることになります。